「排水用のワイヤーブラシを買って使ってみよう」と考え中の方へ
ワイヤー清掃に使うワイヤーブラシは色々な言い方があります。これらは同じものです。
- ワイヤーブラシ
- ワイヤードレンクリーナー
- ワイヤードレンブラシ
- ワイヤーパイプクリーナー
- 排水用ワイヤーブラシなど
【ドレン=排水】
ここではワイヤーブラシと言うことにします。
ワイヤーブラシには色々な用途がありますので、排水用ワイヤーブラシやワイヤードレンブラシと言ったほうが誤解がないと思います。
ワイヤーブラシを使った作業の違いについては、こちらを参照下さい。
ワイヤーブラシでの作業を自分でやることは、おすすめしません
排水の作業を生業としている私の個人的な考えですが
ワイヤーブラシは、本当にどうしようもないときの手段です
私の自宅の場合、少しでも排水が流れる状態であれば100回中100回、パイプクリーナーなどの薬剤で対処をします
ワイヤーブラシでの作業は、絶対に選択肢に考えません
なぜなら、普通の原因なら、パイプクリーナーで改善できるからです
「完全に詰まって、まったく流れない」という最悪なときに、ワイヤーブラシを使うかどうかを選択肢に考えます
私の経験から個人的にいうと
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■ワイヤーブラシの作業を自分で行うことをすすめない理由
排水パイプは基本的にワイヤーブラシで清掃できるように工事(施工)されていません。
なので、ワイヤーブラシが届かない場所や、ワイヤーブラシが届いていても汚れを除去できていない場所がでてきます。除去できなかった汚れの箇所に、汚れは蓄積しやすく、結局、再び流れが悪くなるのです。
プロ用のワイヤーブラシを使っても、汚れを除去するのは、かなり大変です。
プロが、プロ用のワイヤーブラシをつかっても、汚れを除去できない箇所はそれなりに残ります。
あと、家庭用のワイヤーブラシが、詰まっているところまで届かなかったら無駄手間に終わります。大変な作業をしたのに結局、流れは改善しないということがあります。
※注意※ 家庭用のワイヤーブラシを使ったことによって、完全に詰まってしまう可能性があります
詰まっている原因の箇所、流れ道が狭くなっている箇所まで、家庭用のワイヤーブラシが届かなかった場合など
不調の原因の箇所(流れ道が狭い箇所)、詰まっている原因の箇所、の手前の排水パイプ内の汚れは、ワイヤーブラシを突っ込んだことによって削り取られます。
その削り取られた汚れの塊が、不調の原因の箇所(流れ道が狭い箇所)に流れていき、流れ道をふさいでしまう可能性があります。
ワイヤーブラシを引き抜いて、水を流してみれば簡単に分かります
ワイヤーブラシを突っ込む前よりも、流れが悪くなったらなら、
ワイヤーブラシを突っ込んだことによって、削り取られた汚れの塊が流れていき、流れ道が狭くなっているところに詰まってしまい、症状がより悪くなった
ということです。
あと、ワイヤーブラシの後片付けが大変、と私は思います。
ワイヤーブラシのワイヤーは、しなり・バネが強いので、ワイヤーを回収しようとしているとき、洗っているときに、排水が飛び散ったりします。
また、長いワイヤーを洗うのは大変です。
業務用ワイヤーブラシを使う場合、10m、20mと伸ばしたワイヤーの洗浄がかなり大変です。
■流れの不調・排水つまりの原因は何か
可能性があるものは基本的に
- 排水パイプの内側の汚れがひどい
- 大きな汚れや食べかすが引っかかった
2の大きな食べカスが流れていった場合、ワイヤーブラシは非常に有効です。
大きな食べかすが詰まるということは、排水パイプの内側に汚れが多量に固まっていて、排水の流れ道が細い状態になっている。
そのため、食べカスが流れる程度で詰まってしまうのです。
つまり、根本の原因は、排水パイプ内の汚れです。
ワイヤーブラシを通すことで、食べカスが砕けるので、排水は流れるように改善されます。
しかし、その食べカスが詰まっている排水パイプの箇所まで、何メートルあるかは分かりません。3~5メートルの家庭用ワイヤーブラシを突っ込んでも、奥の方の汚れのかたまりに届かなくて、無駄手間に終わることがあります。
■ワイヤー作業に使用するワイヤーブラシについて
ワイヤーブラシについて、家庭向けのもの、業務用のもの、を説明します。
- ホームセンターなどで販売されている家庭向けの手動タイプのワイヤーブラシ
- 業者が使用する業務用の手動タイプのワイヤーブラシ
- 業者が使用する業務用の電動タイプのワイヤーブラシ
があります。
ホームセンターに業務用も置いてある場合もあります。数万から十数万円のものは、基本的に業務用です。
1万円以下の安いものは、家庭向けのワイヤーブラシです。
下記は、家庭向けワイヤーブラシの一例です。下記のほかにも様々な形、方式のものがあります。
グリップの鉄パイプの蝶ビスを締めて、ワイヤーをロックして、グリップを両手でグルグルとまわしながら清掃していきます。
まわしながら排水パイプの奥の方へと、ワイヤーブラシの先端を差し込んでいきます。
こちらのワイヤーブラシは、ワイヤーを回しやすいグリップではありません。
主に、ワイヤーを前後させて使用するタイプ
蝶ネジを締めて、ワイヤーをロックして、ワイヤーを前後させてガリガリと清掃しながら、ワイヤーを奥へと送り込んでいきます。
複雑な配管や、曲がりくねっている配管の場合、ワイヤーをねじりながら差し込んでいかないと、奥へ差し込むのは非常に困難です。
こちらは、家庭向けワイヤーブラシの先端(ブラシ部分)の様子。
ものによって異なりますが業務用と比べると、先端のブラシ部分は細く、柔らかい。
※業務用のものは、先端のブラシを色々なタイプに交換できます。業務用と比べて、家庭向けはワイヤー自体がかなり細く、かなり柔らかい。
家庭向けワイヤーブラシの短所と長所について
※短所を述べる前に断っておきます。
家庭向けワイヤーブラシが使い物にならないということでは断じてございません。
業者が、別件で現場にいて、緊急で対処するときに、業務用ワイヤーブラシが手元に無く、家庭向けワイヤーブラシが置いてあった場合、家庭向けワイヤーブラシを使って対処を試みるでしょう。
あまり曲がりくねっていない一般住宅の排水などでは、効果的に使える場合が多いと思います。
また、一般住宅の排水パイプの配管は、ホテルや飲食施設など比べ短いので、時間や効率を考えなければ、家庭向けワイヤーブラシも有用です。
家庭向けワイヤーブラシの短所
※個人的な感想です
業者の立場(使いやすさ・作業効率性)からの感想ですので、できるだけ時間をかけず、確実に作業を行う上で不都合な点を挙げています。
・ワイヤーが短い
家庭向けは3、5メートルで短い。
家庭向けの10mなど長いものもあるが、細くて柔らかいワイヤーが、ただ長いだけで、取り扱い・取り回し性が非常に悪い。
・ワイヤーが柔らかいので、排水パイプの奥へ差し込みにくい
・ワイヤーが柔らかいので、先端のブラシ部分に力を伝えにくい
・ワイヤーが柔らかいので、絡まりやすい
ワイヤーをドンドンねじりを加えていくと、すぐにからまってしまう。ワイヤーに、ねじれを加えるときにクネクネして、非常にねじりにくい。
・ワイヤーへのねじれを加えにくい
家庭向けのワイヤーブラシは、ワイヤーを強くねじれる構造になってない。
排水パイプが曲がりくねっている場合、業者はねじりをドンドン加えて、ブラシ先端をグルグル回転させながら、奥へ差し込みすすめていきます。
ねじれを加えて排水パイプに差し込んでいかないと、奥へ進んでいかないことが多いので、ねじれを加えにくい家庭向けのワイヤーブラシは非常に作業性が悪い。
また、奥へ行けば行くほど、パイプの曲がっている部分とワイヤーとの摩擦がドンドン大きくなり、強くねじりながらでないと奥へは進みません。
・先端のブラシ(ヘッド部分)が細い(または、小さい)ので、汚れを削りにくい
ワイヤーブラシの先端(バネのような部分)が業務用のものより細いので、削り取る能力が弱い(※業務用でも細い先端のものもあり、太さや形状が色々あります)。
適度に太いものの方が、ガリガリと多く削ることができるので効率がいいです。
業者は2,3種類の太さや形状の先端部品(ヘッド部)を持っていると、ホテルの排水配管から一般住宅の排水まで、効率がいい適したものを選択できます。
配管によっては、先端のヘッド部を取り外して、ワイヤーのみで送り込んだりします。
・先端のブラシがやわらかいので、汚れを削りにくい
業務用でも同じようなやわらかさのものもありますが、少し固めの方がワイヤーからの力を先端のブラシに伝えやすく、ガリガリと削りやすい。
また、やわらかいと先端がクネクネと汚れの上を滑っている場合や、パイプの曲がり角に突っかかっているのかどうかなど、感触が分かりにくい。
家庭向けワイヤーブラシの長所
・安い
業務用のものよりはるかに安いです。
・収納しやすい 邪魔になりにくい
家庭向けのものは、隙間にでも入れておけば収納できます。業務用のものはかなり大きいものなので収納に困ります。
・軽い
家庭向けのものは、ワイヤーが短く、ワイヤーとハンドルのみの製品のため、非常に軽い。業務用のものは、ガッシリとした装置なので重い。業務用の電動タイプはさらに重い。また、長いワイヤーが収まっているので、なお重い。
・後片付け、洗うのが簡単
ワイヤーが短いので、洗うのが簡単です。業務用のものは長く、太く、硬いので洗うのが大変。
業務用のワイヤーブラシについて
業務用のワイヤーブラシには、色々な方式、形状のものがあります 。
業務用のワイヤーブラシは、何となくですが「ドレンクリーナー」と呼ぶことが多い。
これが業務用 手動タイプのワイヤーブラシです。
ホテルやレストランなど、業務用厨房など、排水パイプが長いときには、長くワイヤーを送り込んでいかなければなりません。
ドラム(ワイヤーが収まっている樽のような部分)を回す役と、ワイヤーを送り込んでいく役といった形で2人で分担して行うと効率がいいです。
一人でも可能ですが、技術と手間がかかります。一人で行う場合は、電動式のものが効率的です。
ワイヤーをドラムからある程度引き出して、蝶ネジを締めてワイヤーを固定します。
それからドラムのハンドルを回して、ワイヤーにねじりを加え続けながら、ワイヤーの先端を排水パイプにドンドン送り込んでいきます。
ドラムにくっついている黒い玉のようなものがハンドルです。このハンドルを持って、福引抽選のガラガラのように回します。
ある程度ワイヤーを送り込めたら、蝶ねじを緩めて、ドラムからワイヤーを引き出します。それから、ふたたび蝶ねじを締めて、ワイヤーを固定し、ドラムを回しながら、ワイヤーを送り込んでいきます。
この作業を何度も繰り返して、排水パイプの奥の方へ、できるだけワイヤーを送り込んでいきます。
ワイヤーは、家庭向けのワイヤーブラシよりも太く、ワイヤーの針金自体も太いので、硬く、しっかりしています。
写真のものは、たまたま家庭向けのものと形が似ている先端ブラシですが、先端が太く広がっているものなど色々あります。
写真の先端は、家庭向けのものより少々太く・少々硬いものでした。
業務用ワイヤーブラシはどう違うのか
家庭向けの短所と同じような内容ですが、業務用ワイヤーブラシとの大きな違いについて
①ワイヤーが太くて非常に強靱
②ワイヤーが長い
③ワイヤーの先端のブラシが色々ある
①ワイヤーが太くて非常に強靱
ワイヤーが太くて固いと、ワイヤーを前後させて汚れを除去するときに、力を入れられます。
排水パイプが曲がっている箇所は、ワイヤーの先端(ヘッド部)が進んでいきにくく、その箇所を通すときに、ワイヤーが丈夫なので、強く押し込むことができます。
業務用のワイヤーは、太くて硬いため、排水パイプ内で、折れ曲がりにくい
ワイヤーが太くて硬いため、先端のヘッド部で、汚れをガリガリと削るときに、力がワイヤーの先端まで伝わります。
業務用は、特殊なワイヤーもあります
金属製ワイヤーの芯の部分にプラスチックが使われていて、ワイヤーの中に細かいゴミが入りにくくなっているなど。
私は、このプラスチックが芯に使われている特殊なワイヤーの製品を使っています。
ワイヤーを洗浄するときの手間が全然違います。
一方、家庭向けのものはワイヤーがやわらかく細いので、排水パイプの曲がっている箇所に、ワイヤーの先端が突っかかってしまったときに強く押し込むと、排水パイプの中でワイヤーが簡単に折れ曲がってしまいます。
そのため、家庭向けのワイヤーブラシでは、それ以上、奥へにワイヤーを押し込めなります。途中でワイヤーがどうしても折れ曲がってしまうので、流れ道が狭くなっている不調の原因の箇所までワイヤーが到達できないことがあります。
また、家庭向けのワイヤーブラシは、ヘッド部で汚れをガリガリと削るときに、力がワイヤーの先端(ブラシ)まで伝わりにくいです。
先端に力が伝わるように、ワイヤーに力を込めると簡単に折れ曲がってしまうので、力を入れようにも入れられず、業務用のワイヤーと比べると、家庭向けは非常に作業性が悪いです
②ワイヤーが長い
ワイヤーが長いと、排水パイプの奥の方まで届きます。
業務用のものは数十メートルあります。
家庭用は3から5メートル程度、長くても10メートル程度なので、それより先につまりの箇所があれば、届かず無駄手間に終わってしまいます。
一般住宅の場合は、排水パイプの配管の長さがあまり長くないので、5メートル程度でも十分です。
しかし、たいていの場合、家庭向けのワイヤーブラシは5メートルも送り込めません。
ワイヤーが細く、柔らかいため、送り込んでいる途中の配管の曲がったところで、ワイヤーが折れ曲がって、排水パイプの中でワイヤーが絡まってしまうのです。
変な配管・複雑に曲げてある配管の場合、家庭向けのワイヤーブラシでは、1、2メートルほどで、どうしてもワイヤーが折れ曲がってしまい、それ以上、送り込めなくなることもあります。
ホテル・旅館など宿泊施設や飲食施設の場合、業務用のワイヤーブラシを使います
排水パイプの配管が長いため、15メートル、20メートルほどのワイヤーが収納されている、業務用のワイヤーブラシを使います。
配管が長くなればなるほど、業務用の太くて、しっかりとしたワイヤーでないと、奥へは送り込めません。
配管が長ければ長いほど、配管が曲がっている箇所(継手【つぎて】)の部品が多く使われているため、業務用のしっかりとしたワイヤーでないと、継手の部分を通過するときにワイヤーが折れ曲がってしまうのです。
③ワイヤーの先端のブラシが色々ある
業務用のワイヤーブラシの場合、先端のヘッド部(ブラシの部分)は、交換可能です。 業務用ワイヤーブラシのヘッドは、いろいろな形状・種類があります。といっても、標準装備のヘッドでほとんどの場合に対処できます。
家庭向けのワイヤーブラシより、太くて、比較にならないほど丈夫です。
太くて丈夫なため、力を入れてガリガリと汚れを削り取りやすい。
家庭向けのワイヤーブラシのヘッド部は、柔らかいので、固い汚れを削りにくい。
排水パイプの太さや施工状況によっては、より太いヘッドをつかって、より効率的に汚れを削り取ります。
複雑な配管の場合など、先端のブラシ部を取り外して、ワイヤーだけを送り込んでいく場合もあります。