※オーラルディアドコキネシスの測定は、測定時間(5秒もしくは10秒)の発音回数から1秒当たりの発音回数(回/秒)を算出します。パタカ測定器では、リハビリ・トレーニングでの使用を想定しているため、5秒間より厳しい測定値が出る10秒間の測定をしています。
※測定時間が5秒の場合、発音をする時間が短いため、発音で疲れにくいため測定値が高く出やすいです。一方、測定時間が10秒の場合、発音をする時間が長いため、息が続かなくなったり、発音が不安定になったり、口腔の筋肉が疲れたりして、大抵は5秒間より測定値が低くなります。
※オーラルフレイルの場合、口腔機能の衰えだけでなく、全身の衰えもあらわしているので、発声に必要な肺機能も衰えています。10秒間の測定の方が肺機能を多く使うため、肺機能のリハビリになります。オーラルフレイルがひどい場合、肺機能も弱っているため、10秒間の測定を一息で発音できません。測定中に数回息継ぎをするため、総じて測定値が低くなります。
測定の途中で息継ぎを何回しても問題ございません。息継ぎをするオーラルフレイルの現状をあらわしている測定値となります。今後の経過の変化を見るため、リハビリで改善の判断をするため、など、重要な数値(基準・指標)となります。
オーラルフレイルのリハビリ・トレーニングでは
「パ」と「タ」は 6.0(回/秒)
「カ」は下記の健康群の中間値を目標としてください
【4720名の高齢者を対象とした大規模調査】 出典:日本老年歯科医学会
健康群(766名)の中間値
男性
6.2(回/秒)
6.1(回/秒)
5.6(回/秒)
女性
6.3(回/秒)
6.2(回/秒)
5.9(回/秒)
フレイル群(535名)の中間値
男性
5.6(回/秒)
5.5(回/秒)
5.0(回/秒)
女性
5.6(回/秒)
5.6(回/秒)
5.2(回/秒)
※上記の大規模調査では、要介護度の高い人は参加していないため、フレイル群の値は、それほど低くなっていません。
口腔機能の衰えがひどい人、要介護度が高い人、むせる・誤嚥がひどい人は、4.0(回/秒)以下や3.0(回/秒)以下になります。口腔機能の働きがとても悪い状態です。口腔機能に問題無い人と比べて、明らかに発声・滑舌が悪いです。
誤嚥性肺炎をおこす可能性が高い、危険な口腔機能の状態です。リハビリをしたり、オーラルフレイルを扱っている医療機関に行くなどして、口腔機能の改善や誤嚥性肺炎にならない対処をして下さい。
また、口腔機能の低減の原因は、口腔を活発に使っていない事による衰え、だけでありません。
※脳萎縮、脳機能や神経伝達機能などに原因がある場合があります。それらが疑わしい、心配な場合は医療機関へ相談して下さい。
■ 「パ」「タ」「カ」 発声に使う筋肉がそれぞれ異なります
発音に使われる口腔機能は、それぞれ異なります。そのため、オーラルディアドコキネシスの測定結果から、どの箇所の口腔機能が衰えているかを判断できます。
「パ」の測定値が低い場合
唇を動かす能力の衰えから、食事の時に口から食べこぼす原因になります。
また、唇の動きが悪いので、しゃべるときに滑舌や発音が悪くなります。
「タ」の測定値が低い場合
舌を動かす能力の衰えから、食べ物を口の奥へ送り込みにくくなります。
飲み込む手前まで、食べ物を移動する能力が低くなるため、食事に時間がかかります。
食事を始めると、満腹中枢が刺激されます。
食事の時間が長くなりすぎると、十分な量を食べ終える前に、満腹感を感じてしまい、食事を止めてしまい、
食事の量が少なくなってしまいます。低栄養・栄養失調の原因となります。
また、舌の動きが悪いので、しゃべるときに滑舌や発音が悪くなります。
「カ」の測定値が低い場合
舌の奥の方を動かす能力の衰えから、食べ物を飲み込みにくくなります。
食べ物や飲み物の飲み込みに重要な部分なので、衰えると、むせたり、誤嚥をおこします。
また、舌の動きが悪いので、しゃべるときに滑舌や発音が悪くなります。