オーラルフレイルのリハビリ・トレーニングの
効果・効率向上のため【リハビリの仕組み】
オーラルフレイルのリハビリの仕組みを分かった状態でのリハビリと、何も知らない状態でのリハビリでは、リハビリの効果・効率が異なります。ご参考下さい。
【はじめに】 オーラルフレイルのリハビリは、基本的に筋力トレーニングです
どこの筋肉を鍛えているのか、何を向上させるためのトレーニングをしているのか分かっていないまま、何となくリハビリをする場合と、動かしている箇所を意識してリハビリをするのでは、リハビリの効果が異なります。
スクワットを例にすると。何も考えず行う場合と、鍛えたい筋肉(大腿四頭筋)を意識しながら行う場合では、筋力トレーニングの効果が異なります。
また、向上する仕組みを分かっていないのと、分かっているのでは、リハビリのやる気が異なります。
オーラルフレイルのリハビリは、厳密には下記のトレーニングを行うことで、口腔機能の向上を目的とします。
・ 口腔機能に関わる筋肉の増量・増強
・ 口腔機能に関わる筋肉の使い方のトレーニング
・ 口腔機能に関わる筋肉を動かす運動神経の向上・強化
・ 発声に関わる筋肉・声帯・肺機能の使い方のトレーニング
・ 発声に関わる筋肉・声帯・肺機能の運動神経の向上・強化
オーラルフレイルのリハビリをすることで、これらの能力を向上し、口腔機能を向上させます。結果、オーラルフレイルの改善になります。
大まかに分けると、下記の2種類になります
① 口腔機能や発声に関わる筋肉の筋力トレーニング
② 筋肉の動かし方や運動神経の強化のトレーニング
① 口腔機能や発声に関わる筋肉の筋力トレーニング
口腔機能、発声に関わる筋肉・筋力の増強のためのトレーニングを行います。
主に、下記の筋力トレーニングを行います。
・ 唇まわりの筋肉
・ 舌の筋肉
・ 舌の付け根あたりの筋肉
・ 声帯まわりの筋肉
・ 横隔膜(横隔膜自体が筋肉です)
トレーニングの方法を簡単に言うと
「できる限り、強く、しっかりと十分に筋肉を動かす」
腹筋運動、背筋運動やスクワットなど、一般的な筋力トレーニングの方法と同じです。
できる限り、強く、しっかりと動かすことで、筋肉が刺激され、筋肉の増大、筋力の強化になります。
一般的なオーラルフレイルのリハビリでは、無意味音音節連鎖の発音やパタカ体操などを行います。無意味音音節連鎖やパタカ体操などは、
誰でも簡単にできるように考えられた負荷の軽い運動・筋力トレーニングです。そのため、オーラルフレイルの改善には、相応に時間がかかります。
一方、
パタカ測定器を使ったリハビリは、測定結果が毎回表示されるため、できる限り速く、はっきりとした発音を意識し続けるため、口腔の筋肉を強く、しっかりと動かし続けます。そのため、
負荷の重い運動・筋力トレーニングとなります。
少しでも測定値が良くなるように、または、測定値が悪くならないように、と無意識に発音をしっかりしようとします。口腔の筋肉の動きだけでなく、肺機能も十分に使わないと、測定値は良くなりません。
肺機能が弱っていると、10秒間の測定中に息が続かなくなり、途中で息継ぎをします。肺機能が弱っている場合、横隔膜(←筋肉)が弱っていたり、筋肉量が減っていたり、使わないから動かし方が下手になっている状態です。
毎回測定結果が表示されるため、測定値が良くなるように、横隔膜を活発に動かすようになり、息を吸い込む量を増やしたり、しっかり長く息を吐き続けるという工夫を無意識に行うため、肺機能の筋力トレーニング・リハビリとなります。
② 筋肉の動かし方や運動神経の強化のトレーニング
オーラルフレイルの場合、主に
2つの悪い状態が起こっています。
(1)筋肉の動かし方を忘れているような状態
(2)筋肉を動かすための運動神経が減っている状態
これらを改善するためにトレーニングを行います。
筋肉を動かすという仕組みの理解が重要です。一言で言うと、
筋肉を動かすための信号が、運動神経という神経細胞を伝わり、筋肉に届いて、筋肉が動きます。
筋肉を動かすという仕組みについては、以上で十分です。
口腔機能の筋力が衰えている(オーラルフレイルの状態)場合、日常的に活発に筋肉を使っていないため、筋肉の動かし方を忘れているような状態になっています。そのため、筋肉の動かし方を思い出す、動かし方を身につけるトレーニングを行います。
また、
筋肉を活発に使わない状態の場合、筋肉を動かすための運動神経は働く必要が無いため、筋肉と運動神経のつながってる数が減少します。すると、筋肉があっても、運動神経が減っている状態のため、筋肉を十分にしっかり動かすことができません。
トレーニングの方法を簡単に言うと
「毎日活発に筋肉を動かす。とくに回数を多く動かす」
筋肉の動かし方を忘れているような状態の場合、とにかく、回数を多く、筋肉を動かす必要があります。毎日、回数多く筋肉を動かすことで、筋肉の効率の良い動かし方が身につきます。
また、毎日、筋肉を回数多く動かすことで、新たに神経細胞が筋肉とつながり、運動神経が増えます。筋肉を動かすための運動神経が増えるため、筋肉を動かす能力が向上します。
一般的なオーラルフレイルのリハビリでは、無意味音音節連鎖の発音やパタカ体操などを行います。無意味音音節連鎖では、ある程度の回数発音を行うため、筋肉の動かし方のトレーニングになります。
しかし、できる限り速く発音するという意識が低いまま、病院で指導された発音メニューを何となくこなすため、それなりの回数しか発音をしません。そのため、オーラルフレイルの改善には相応の時間がかかります。
一方、
パタカ測定器を使ったリハビリの場合、何回も測定するため、短時間でも非常に多くの発音をします。短時間でも、しっかりと強く口腔の筋肉を動かし、非常に多くの発音をするため、
筋力の強化と、
動かし方の能力の増強の両方を同時に効率的にトレーニングできます。
また、
パタカ測定器を使った場合、毎回測定結果が表示されるため、測定結果が良くなるように、毎回、発音のしかたを無意識に工夫します。測定結果が良くなる筋肉の動かし方を無意識に模索するため、効率よく筋肉の動かし方を身につけることができます。