■厨房排水の構造 
苛性ソーダ系パイプクリーナーを(たまに・定期的に)使っている場合

 

※分かりやすく解説するため誇張したイラストになっています。


厨房排水の簡略断面図です。
ほんの一例の構造です。

シンクの排水口の部分には「ワントラップ」というものが(最初から)設置されています。このトラップによって、排水配管からの悪臭が排水溝から上がってこないようになっています。
 そのワントラップに「排水ホース」がつないであります。

※トラップには水が常に溜まっている構造ですが、図では簡略に省略しています。

 排水ホースの先端が排水配管(パイプ)に差し込んであります。

業務用厨房の排水配管は、床から突き出ています。そのパイプの穴に排水ホースが差し込んであるだけです。ホースとパイプの周りはブカブカで隙間が空いています。
また、しっかりと固定されているものもあります。

 

●詰りやすい汚れがひどい排水の様子

排水配管の内側に、油脂汚れが非常に多く付着して固まっている様子です。

色が濃い汚れほど、昔(数ヶ月~数年前))に付着して(より硬く)固まったものをあらわしています。

この汚れの層は、排水を使うことによって、徐々に少しずつ厚くなっています。この
汚れの層が厚くなっていくことで、排水の流れ道が徐々に細くなって、ゴミなどが引っかかりやすくなります。

また、汚れの層が厚くなることで、汚れの層がデコボコになり、その汚れのデコボコにゴミや汚れが付着しやすくなったり、引っかかりやすくなります。

 

●苛性ソーダ系パイプクリーナーを使った後の様子

比較的最近付着した油脂汚れはオレンジ色で表してあります。

付着したての油脂汚れは比較的やわらかい状態なので、苛性ソーダ系パイプクリーナーによって、ある程度分解できます。

しかし、付着してから数ヶ月~数年経った汚れ(図では色が濃い部分)は硬く固まっていているので、苛性ソーダの分解成分があまり効かず、非常に分解しにくいです。

なので、苛性ソーダ系パイプクリーナーで硬くなった油脂汚れを除去できないものと考えていても過言ではないと思います。
苛性ソーダ系パイプクリーナーが作用する様子(厨房の排水配管の油脂汚れ)

 

●定期的に(高頻度で)苛性ソーダ系パイプクリーナーを使っている排水の様子

比較的最近付着した油脂汚れはオレンジ色で表してあります。

定期的に使用している場合でも、大して油脂汚れは除去できていません。

また、排水配管の奥のほうの柔らかい汚れを分解できていない可能性が高いです。奥のほうといってもそんなに奥ではなく、かなり近く程度の汚れしか分解しかできていないと考えてください。

苛性ソーダの成分、分解能力等に関わらず、洗浄液が付着したところしか、分解できません。

大部分の硬くなった油脂汚れは除去できていないと考えてください。排水パイプの奥の方はなおさら(やわらかい油脂汚れの多くも)除去できていません。


細くなった通り道をかろうじて詰まらないように、定期的に苛性ソーダ系洗浄剤でやわらかい油脂汚れを分解して、少し通り道を広げているだけとご承知ください。細い通り道がこれ以上細くならないようにキープできていればいいほうです。排水の通り道は細いことに違いはないので、大き目の汚れの塊が流れたり、食べかすが流れたりして詰まってしまう恐れがあります。

その苛性ソーダ系洗浄剤の定期使用を止めたとたん、数週間で詰まってしまうかもしれません。

大きめな汚れの塊や食べかすなんて排水に流さないから大丈夫と思われた方へ
付着した油脂汚れの塊が剥がれたり、脱落して排水に流れていく場合があります。また、細かい有機物汚れ(食べかすや油脂)などが固まりになって、大き目の塊になってから排水配管の(固まった汚れの)内壁から取れて流れていった場合、コレが原因で詰まる可能性があります。


苛性ソーダ系洗浄剤の定期使用・・・
はっきり言ってこの方法は予防ではありません。

年に何回も流れが悪くなっている排水の場合、定期的にその場しのぎを続けているだけです。